【長期修繕計画の目的】
マンションは簡単に建て替えができません。
他の鉄筋コンクリートの建物同様、メンテナンスが必要です。
適切な時期に適切な修繕工事を行うことが、健全な状態に維持管理するポイントです。
特に、単に劣化を防ぐためだけではなく、資産価値を維持または向上させようと考える場合は尚更です。
「そろそろ修繕が必要だな」と思ったときになって初めて費用が不足していたことに気づいて慌てることのないよう、あらかじめ修繕予定を決め、費用を確保することを修繕計画といいます。
大勢の人が住むマンションの維持管理には必要不可欠です。
【修繕の種類と会計種別】
【対象範囲】
長期修繕計画は共用部分を対象に作成します。
一般的な共用部分の分け方はこちら
具体的な長期修繕計画表の主な大・中項目は下の表のようになります。
建  築 設  備 外構他 その他
屋根防水 給水設備 外構・付属施設等 建物調査診断
外壁等 排水設備 設計監理
共用廊下床防水 ガス設備等 長計作成・見直し
共用階段床防水 空調・換気設備等 その他
バルコニー床防水 電気設備等
鉄部等塗装 消防設備
建具・金物等 昇降設備
共用内部等 駐車場等
【グレードアップの可能性】
新築時に最新鋭の設備でも、10年もたつと周囲の新築マンションとは設備面での差異が生じ、資産価値を維持することが難しい場合もあります。
適正なグレードアップ工事を取入れることは、性能及び資産価値を上げることにつながります。
項    目 改 修 方 法 の 例
耐震性能向上 玄関扉の耐震化
柱に鋼板や炭素繊維シートを巻く
ピロティに耐震壁やブレースの増設
バリアフリー スロープの設置
手摺の設置
エレベータの新増設
玄関ホールに自動ドア設置
省エネルギー 屋上陸屋根の断熱防水改修
外壁の外断熱改修
玄関扉の断熱ドアへの交換
エコロジーへの対応 屋上緑化、雨水利用、太陽・風力発電、廃物利用
防犯性能向上 玄関ホールにオートロック設置
エレベータや駐車場に監視カメラ設置
玄関扉やエレベータドアの防犯性能改善
共用部分の廊下・階段等の死角をなくす
利便性向上 IT化
駐車場増設
宅配ボックスの設置
電気・ガスの容量アップ
耐久性・維持管理性能向上 給水方式の変更
サッシ・窓ガラスの更新
集会室・管理事務室の設置
【作成・見直し時期】
販売時に不動産業者や管理会社が一応の長期修繕計画を提示していますが、必ずしもそれぞれのマンションに適合したものではありません。
大規模修繕工事時期を目前にして、費用の不足に気づくというケースもあります。
また、単に維持メンテナンスに留まらず、その時代に適合したグレードアップ等を考える必要性もあります。
現行の修繕積立金は妥当なのか、修繕内容は適切なものなのか、どこまでのグレードアップが可能なのか、といった不安を解消するためには、過去の工事実績の確認や建物の現状を踏まえた修繕計画の見直しが必要になってきます。
適正な修繕積立金を算出する根拠となりますので、早めの策定と、定期的な見直しが必要です。
   1 築後 1〜3年目の新規策定
   2 大規模修繕工事直後の見直し
   3 概ね5年ごとの見直し
【計画期間】
国土交通省指針により、また、技術の進歩・価格の変動等を鑑み、30年間の計画が基本となります。
【お引渡し成果物内容】
・建物概要
・主要仕上表及び設備仕様(新築時または現状)
・修繕履歴表
長期修繕計画解説
修繕内容解説
・修繕仕様表
・修繕サイクル表
・積算表
・概算修繕費計算書
・長期修繕計画表(案)
・修繕積立金シュミレーション表及びグラフ
・長期修繕計画表の見方
・建物部位名称図解
・特記事項解説書算出根拠試算書等 必要に応じて
・その他参考資料
※ 平成20年6月 国土交通省策定 長期修繕計画標準様式を網羅しております。
【策定にあたって必要な書類等】
長期修繕計画策定にあたっては、以下の書類をお借りいたします。
・竣工図
・直近の会計報告書
・修繕履歴
・過去の工事内容の解るもの(見積書等)
※ そろわない場合はご相談ください。

アーバン・スペース 建築事務所

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